@@ツリーハウスプロジェクト活動報告@@



プロジェクトを終えて

                                     川原優一

  なんという達成感だろう。
  ツリーハウスの話をもらってから約1年という長い時間、ツリーハウスのことを考え、アイディアを組み立て、完成した姿を想像し、夢見てきました。そしてその夢見ていた世界が完成した今、喜びと充実感で感じたことのない不思議な感覚でいっぱいです。一つのものを作ったというだけで本当にたくさんの経験、学習、感動をすることが出来ました。また同時に私一人での力の小ささ、仲間が集う喜び、そしてチームとなった時の力の大きさを感じる機会ともなりました。
  ひみつ基地のようなツリーハウスを作ってみたいと多くの人が思ったことがあるのではないでしょうか。しかし、実際に作る機会はほとんどありません。私自身作りたいと思うことはあっても、このプロジェクトがなければ、このまま一生実現される夢ではなかったと思います。作る場所がない、時間がない、自信がない。実際に作るとなれば色々な不安や問題が現れてくるでしょう。
  しかし、それらを解決したのはチームという存在でした。作るチャンスを与えて頂いた方、場所を提供して頂いた方、助言を頂いた方、ツリーハウス作りを手伝って頂いた方、元気、アイディアをくれた子ども達。本当に多くの方々が集まり力を出し合った結果、出来上がったものだと強く感じました。実際に私一人で考えていたツリーハウスと、出来上がったツリーハウスでは違うもののようになっています。柱などに丸太が使われたり、ブランコやハンモック、ベンチなどが登場したり、多くの人のアイディアや作品が盛り込まれたツリーハウスになりました。柱一本一本が、作品一つ一つが出会いの証であり、経験であり、みんなの宝物です。
  そんな貴重な経験をし、たくさんの出会い、作品が生まれたこのツリーハウスプロジェクトとしては終わりが来てしまいました。しかしツリーハウスの人生から見れば、完成した今が始まりなのです。いろいろな活動が、たくさんの笑顔、笑い声が、そしてたくさんの思ひ出が生まれることが、このツリーハウスにとって幸せなことだと思います。
  それに、森は生きています。静かに見える森の中にも木々たちは成長を続け、光を求める争いの中で生き延びようと根を張っています。ツリーハウスも同様に、日々変わる環境の中で自然と共に成長を続け、ツリーハウスが幸せであり続けられるように付き合っていきたいと思います。



A組の活動を通して得たこと―作業部隊の視点から―

                                津田恭明

  A組の活動は、ツリーハウスを建設する土地を提供してくれた地域の方々、アドバイザーとして宮崎県から来ていただいた矢野さん、設計者のかわちゃん、学生ボランティアの仲間たち、そして共学センターの関係者の方々と様々な人の協力によってツリーハウス建設の第一歩となった。
  この期間に行なった作業は、この冬に大雪で倒れた杉の木を利用した橋と階段の建設、ツリーハウスの土台・柱の整備だった。作業はそれほど難しいものではなかったが、続けていくうちに完成後の安全性に大きく関係してくる作業をしているという思いが強まっていった。また、作業中に交わす仲間たちとの掛け声や会話は、みんなで一体となって作業を行っているという気持ちにさせ、作業終了時には久々に達成感を得ることができた。
  作業中は、失敗して矢野さんに叱られることも多々あったが、なぜ叱られたのかを説明してくださったため、道具の使い方や置き場所、立ち位置など失敗から学ぶことがあった。そして、矢野さんの叱り方から、なぜ自分のとった行動がいけなかったのかを振り返ることができ、今後の作業や子ども達との活動に繋げていけるように感じた。
  以上のことから、私は今回の活動を通して改めて人とのつながりの大切さを実感することができた。また、自然の中での子ども達との活動では、活動中の安全確保も重要ではあるが、それ以前にも活動場所の安全を確保することの重要性を考えさせられた。A組では、子ども達と直接関わる機会は少なかったが、作業を通して体験したことを今後の活動に活かしていきたいと思う。



C組 「ツリーハウス完成!!」

                                岡崎みゆき
 
 ツリーハウスもいよいよ最終回となった。ツリーハウスの柱もなかった1回目の活動日、私自身、初めての場所、初めて出会う子ども達にどう反応して良いのかよく分からなかった。でも、ツリーハウスが姿を現すと共に、子ども達の仲はもちろん私と周りの関係も目に見える確かなものになっていったと思う。
 朝早いにも関わらず、子どもたちは元気に集まってきた。京都からの参加者は1人から5人に増えていた。福井に向かうバスは子ども達の元気を発散させるには小さすぎると思う。3時間以上の旅を終えやってきた福井、ただいまと思える優しい場所だ。そこで子どもも全員集合した。人懐っこくて、大人が持つ堅苦しさがない姿はうらやましい。人見知りをする子もいれば、走り回る子もいて見ているだけで楽しくなる。早速こないだ作り終えた木の壁とはしごを持って、ツリーハウスに向った。特に男の子は一目散にツリーハウスによじ登っていた。完成が近づいているのが感じられてわくわくしていた。お昼を食べたらすぐにクラフト作りに取り掛かる。作りたい物を作る、材料は何でもある。「私がやる!」と言う彼らを、私は手伝いたくてうずうずしていたし自分自身も何かを作りたいと夢中になっていた。できたものは棚、椅子、ポストに窓にかけるブライドなど、すべて木から作ったオリジナル。小さな大工達の笑顔は素敵だった。
 夜ご飯作りも楽しみの一つ。好奇心旺盛な子供たちの集中力を料理に向かすのは大変だ。それでも毎回おいしいものができるのは皆の力だろう。新しい味が生まれることも多々ある。皆違う子ども達を平等に扱うのは難しい。このツリーハウスは子ども達の学ぶ場と同時にわたしの考える場だった。
 本当に最後の日、雨は上がり昼には日が差してきた。向かった森の中には完成したツリーハウスが待っていた。初めツリーハウスに登ろうとしなかった子も嬉しそうに駆けていった。ブランコとハンモックも付いて皆笑顔でいっぱいだった。ツリーハウスの周りで遊びはじめた子、帰る寸前まで椅子作りをしていた子、一生懸命できらきらしていた。友達にツリーハウスを自慢する彼らを想像する、この思い出はずっと皆の胸に残ると強く思った。



輝くこどもたち

                                大野沙十子

 私は今回初めてキャンプのボランティアに参加しました。私は今までキャンプを経験したことがありませんでしたが、子どもたちは何回もキャンプを経験したことがある子ばかりで、サポーターとして行っている私よりも子どもたちのほうが先輩のように感じました。
  はじめは子どもたちのパワフルさに驚きましたが、「さとちゃん」「遊ぼう!」などと話しかけてくれると本当にうれしいです。山に行ったとき、私は初めて草笛を体験しました。なかなか上手に吹くことが出来なかったのですが、子どもたちは本当に上手に吹いているし、小さい笹舟を器用に作っている子もいるし、子どもってすごいと実感しました。ご飯を作るときも木をノコギリで切ったり、釘を打ったりするときも何でもすぐに上手になるのです。私が感動したのは皆で壁に葉っぱの絵を描いたときのことです。皆絵の具を混ぜて、一生懸命自分の好きな色を作っていました。1枚1枚個性がある葉っぱを描いて、とても素敵な壁が出来上がりました。あれは子どもにしか描けない絵なのだろうなと思いました。本当に素敵で、家に持って帰りたくなったくらいです。
 私はこのキャンプで、子どもたちや自然に沢山のことを教えてもらいました。自然の中で走り回っている子どもたちは本当に輝いています。
 いろいろな人に出会え、自然と触れ合うことが出来るこのキャンプに参加して本当によかったです。一緒に活動したこどもたち、ボランティアさん、スタッフの皆さん、本当にありがとうございました。



地域デザイン研究室から

                            下村 泰史(京都造形芸術大学)

 担当ゼミの川原君が参加させていただいている縁で、小学2年生の息子とツリーハウスのプログラムに参加させていただいた。私たちが参加したときには、ツリーハウスの土台はすでに組み上がっており、これから出来上がっていく姿も想像できるものになっていた。この回では、周囲に組み付ける壁をつくり、実際に据え付けるところまでした。ツリーハウスがどんどん現実の形をとっていくのは、わくわくする体験だった。子どもたちにとっては一層その感じは強かったのではないだろうか。
 そののびのびとした経験を背後から支える仕事は、並大抵のものではないと感じた。常時の安全確保、衛生管理、やや突飛な行動をとりがちな子たちの見守り、企画とスケジュール管理などなど、密度の高い総合的なマネージメントがあってはじめて、そうした活動は可能になるのだということを痛感した。専従スタッフとボランティアの皆さんのご尽力はもちろんのことだが、参加する子どもたちの中から、新しい「アニキ」世代が育ってきているのは素晴らしいと思った。子どもたちと一つになって遊べ、同時に子どもの視線の高さにたって、必要なことを伝えられる、こうした人は貴重である。これは生き生きとした自律的な活動を続けていくキーだと思う。
 この、グループ内の生き生きとした生命力を、如何に地域に波及させていくかが、これからの一つのテーマになるのかもしれない。地域の自然や風景は、これまでその地域の人たちがひとつひとつ手で作ってきたものだ。森の姿にせよ、田んぼの風景にせよ、村の人のさまざまな知と技の結晶、自然と人間の共同作品なのだ。村の自然の中で学ぶということは、そうした風景の中に隠れている人々の想いを見いだしていくこととは切り離せないものだと思う。
 外部からの「風の人」が、その地に新しい意味を見つけ、地元の「土の人」を刺激する、というのは、よく言われるところの図式である。しかし、「風の人」に地域の営みに対する尊敬や愛がなければ、それは単なる都市化と同じことだ。「風の人」が地域を丁寧に知ることがまず求められる。私自身、こうした仲立ちの仕事に携わっているという気持ちがある。だが、このところ、この図式自体がすでに古いものになりかけているようにも思えてきた。
 高齢化が極端に進んだ地域では、「風の人」が「土の人」を継ぐしかない。その地域の自然・文化を受け止め、そこを生きていくのは、新しくやってきた人しかいないのである。この上味見地区もそうだと聞いた。森の子たちは、これまでの日本になかった、まったく新しいフロンティアに立っているのかもしれない。わが地域デザインコースの「地域に生き、地域でデザインする」という考え方が、ちょうどここに重なってくるような気がする。
 デザインの新しい考え方が、自然との付き合いを開いてくれる。ツリーハウスにはその可能性を感じた。