ホタルが再び飛び交う川環境の再生に向けた実践と環境教育プロジェクト

対象地域と経緯

 
<対象地域>

 福井市上味見地区は、戦後の国策で杉の植樹が奨励され、相当の杉が植えられ、育てられてきた。雑木もところどころ残り、熊が里におりてくる年もある。ホタルが乱舞するスポットもあり、水がうまく気温の関係から美味しい米がとれる。源義朝の十男が起源とされる豪族伊自良氏が館を構えた地区であり、その復元館である伊自良の里資料館では歴史がしのばれる。

 平成16年7月18日に福井豪雨が発生、足羽川がいたるところで氾濫し、床下・床上浸水、田畑に泥がたまるなど旧美山町は壊滅状態に陥った。私も災害ボランティアとして手伝い、出来ることで貢献した。ホタルが乱舞した川は、激流で畑やコンクリート堤、堰がえぐられ、破壊され、ズタズタになった。山の荒廃も一因であった。過疎化による様々な問題を抱えている里山地域である。

<福井豪雨を契機とした環境教育活動>

  平成16年7月の福井豪雨による災害復旧は急ピッチで進められていった。8月上旬には美山町の災害復旧本部は活動を終了し、美山中心部から上味見地域へのアクセス道路で陥没した箇所も仮復旧した。しかし、町民の生活の建て直しには尚時間を必要とした。ようやく平穏を取り戻した11月、そして1月に地域住民との会合をもたせていただいた。「福井豪雨の時の激流はすさまじかった。上味見川もどんどん増水し、ゴォーッという音とともに上流から川の水が押し寄せてきた。田一枚が抉られた」「復旧工事が進んでいるが、死んでしまった川のようだ。昔は魚がいっぱいいて、ホタルももっと多かった。そんな自然にふたたび戻るといい」 様々な意見が出たなかで、私達に出来ることとしてホタルを飼育してみようということになった。
 足羽川・支流は自然護岸が多かったためホタルの生息地が多かったが、福井豪雨でコンクリート護岸・自然護岸ともに破壊され、ホタルの卵や餌のカワニナはもちろんのことこれらが生息する環境そのものが流されてしまったと思われる。地域住民との話し合いのなかで、ホタルが再び飛び交うことを願う素朴な想いが出発点となり、河川及び河川を取り囲む環境、里山の自然環境への再生に関する意識が醸成されていった。